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強迫性障害 とは?イライラを起こす強迫性障害の原因、症状、治療とは?

公開日
更新日

 
執筆:山本恵一(メンタルヘルスライター)
 
医療監修:株式会社 とらうべ
 
 
強迫性障害 についてご存知ですか? 細かいことが気になって、イライラの原因となる強迫性障害。強迫性障害になる人は、自分のこだわりに徹底し、純粋で、心の底まで潔癖な「完全主義」が特徴です。この記事では、強迫性障害の原因、症状、診断法、治療法など、その概要を解説します。
 
 

強迫性障害とは:強迫観念と強迫行動による不安障害

 
強迫性障害(OCD:obsessive-compulsive disorder)にはさまざまなパタンがありますが、共通するのは「強迫観念と強迫行為」です。本人の意思とは無関係に繰り返しわき起こってくる、拭い去れない不快なイメージや考え。これが強迫観念です。また、何度も手洗いをくり返したり、外出時に鍵をかけ忘れたと思って何度も確かめなおすといった、強迫観念に伴う不安を和らげるために行われるのが、強迫行動(儀式ともいわれます)です。
 
強迫観念や強迫行動が繰り返し起こることで、日常生活に支障をきたしたり、立ちいかなくなってしまう不安障害が強迫性障害です。発病率は100人に2~3人くらいといわれ、男女比は同率ですが、児童・青年期発症例は男性の方が多く、女性は結婚や出産を機に発症する例が多いとされています。
 
 

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強迫性障害の原因:脳の自己防御システムの過剰反応

 
強迫性障害が起こる原因として考えられているのは、脳の自己防御システムの過剰反応ということです。感染症など外敵から身体を守る「自己免疫システム」。この免疫システムが敵ではない自分自身に対して過剰に反応し、攻撃することでアレルギーなど「自己免疫疾患」という病気になることがありますが、強迫性障害もこれと似たメカニズムが脳で起こり、発症するのではないかというのが最新の学説だそうです。つまり、脳の自己防御システムがリスクに備えて機能していて、たとえば、排泄物のばい菌を極度に恐れたり、火を消したかどうか不安で仕方がなかったりなど、余計なところで過剰に機能してしまっているのではないか考えられています。
 
ともあれ、強迫性障害は何度も経験している困難や、起こる確率の高い災難によって発症することはほとんどなく、「万が一、将来、起きるかもしれないことへの恐れ」から強迫観念が起きてくるといわれています。また、単語や数字、人の顔など、意味のないものが執拗に浮かんで強迫観念になることもあります。強迫観念を起こすきっかけのことを「トリガー」と呼んでいます。
 
 

強迫性障害の症状:強迫性障害の8つのパタン

 
強迫性障害の主症状としての強迫観念と強迫行動にはいくつかの出かたがあります。それによっていくつかのタイプが指摘されています。
 
〇 不潔恐怖・洗浄強迫
自分や家族、大切なものがばい菌などに汚染されているように感じ、手を洗い続けたり、シャワーを浴び続けたりする。
 
〇 加害恐怖・確認強迫
ガスの消し忘れや鍵のかけ忘れなど、自分の過失が万が一の事故や災害につながることを恐れ、確認をくり返す。
 
〇 縁起強迫
縁起の悪いことが頭をよぎって、自分や家族に災いが起こることを恐れ、縁起が良いとされる行為を何度も繰り返す。
 
〇 強迫性緩慢
食事や会話など、あらゆる日常行動をしっくりいく感覚で完璧に行っていないと思い、過去の行動の確認、未来のシュミレーションを、ジッと頭の中で行っている。
 
〇 収集癖
新聞や雑誌など、あとで捨てたことを後悔しないよう、どんどんため込んでしまう。
 
〇 不完全恐怖
位置がすべてそろっていないと嫌な感じがして、並べ直したり書き直したりと、スッキリ感を求めて追及し続けたり、疑問への答えが100%と感じるよう質問をし続けたり、調べつくしたりしないと気が済まない。
 
〇 疫病恐怖・洗浄強迫
AIDSにかかるのではと、異常に他人の血を恐れたり、しつこくトイレを掃除したりする。
 
〇 不道徳恐怖・懺悔強迫
危険なものをさわったり、盗みの衝動など悪いことの限界を楽しんだり、相手が嫌がることを言ったり、相手が怒るような悪いことをしでかしたのではと気に病み、懺悔をくり返す。
 
 

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強迫性障害の診断

 
突然の動悸や呼吸にめまいといったパニック障害は症状が分かりやすいので、比較的早く診断につながりますが、強迫性障害の方は、儀式(強迫行動)によって安心していたり、人知れず対処していることも多く、かなり症状が進行しないと受診に至らないことが難しいところとされています。
しかし、受診すれば病歴を問診して、強迫観念と強迫行動(両方かどちらか一方)がみられれば、強迫性障害と診断されます。
 
 

強迫性障害の治療

 
薬物療法や心理療法が治療として行われます。薬物療法ではうつ病でも用いられるSSRIが主に用いられ、場合によってはうつ病よりも投与量が多くなります。
心理療法の方は、曝露反応妨害法と呼ばれる認知行動療法が有効とされています。専門の間ではEPR(エクスポージャーと儀式妨害:exposure & ritual prevention)と呼ばれる、あえて恐怖や嫌悪感を呼び起こす体験に身をさらして、強迫儀式以外のことを行うようにする治療法が最も効果的だろうという指摘もあります。
 
 

強迫性障害の予防

 
中途半端な治療は強迫性障害の再燃や再発につながります。ですから、自分の回復の程度を主治医によくきいて、きちっと回復するまで治療を続けることが再発防止の予防につながります。そして、回復したら、強迫行為に逃げないこと、同じ生活パタンをくり返さないで、勤めて生活に変化をもたらすことが強迫観念に陥らないコツだそうです。また、緊張していると強迫観念が生じやすくなるので、心と身体をリラックスさせておくことも大切です。
 
現代社会は清潔で便利で危険にさらされない日常生活を可能にしています。そうした中、とくに狭い空間でも不自由ない生活、たとえば、休日はインターネットやゲーム、食事はコンビニのお弁当、暇を持て余すといった生活をしていると、強迫性障害発症の温床になってしまうという専門医の指摘もあります。すこし不便で文明の利器の少ない自然に触れる生活などは、予防にもよいということでしょう。
 
 

強迫性障害 :まとめ

 
・強迫性障害(OCD)は、強迫観念と強迫行動を主症状とする不安障害
・さまざまな危険に対処する「脳の自己防御システム」が、自分に対して過剰反応していることが強迫性障害の原因とみなされている
・強迫観念や強迫行動の多様性によって、強迫性障害には8つのタイプが指摘されている
・儀式(強迫行動)によってささやかな安心を得ていたり、受診になかなかつながらないが、いったん受診すれば、問診で診断が可能となる
・治療には薬物療法と心理療法が用いられている
・薬物療法にはSSRIが、心理療法に認知行動療法が有効とされている
・行動療法の中でもESP(エクスポージャーと儀式妨害)が最も有効と言う専門医もいる
・ESPは、あえて恐怖や嫌悪感を呼び起こす体験に身をさらして、強迫儀式以外のことを行うように動機づける行動療法
・再発防止を防ぐ第3次予防として、確かな回復まで治療を完遂することが大切
・できるだけ変化の多い生活も、強迫観念に陥ることを防いでくれる
・リラックスすることも重要
・とくに狭い空間での不自由のない生活は強迫性障害発症の温床ともいわれる
 
 
<参考>
原井宏明・岡嶋美代『やさしくわかる強迫性障害』ナツメ社、2015年

https://www.ishamachi.com/?p=8746

 
 
<執筆者プロフィール>
山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
 
 
<監修者プロフィール>
株式会社とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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